来場者にLGBTQ+の人々もいることを前提にした、包括的な対応と注意点(大阪万博スタッフ・ボランティア研修用)

 2022~2025年の3年間、新設Cチーム企画が万博のアクセシビリティ当事者委員として参画してきた経緯を踏まえて作った資料です。万博でのスタッフ・ボランティア研修を委託されている団体に共有しました。なお、当会は研修の実施は依頼されなかったため、スタッフ・ボランティア研修には関わっていません。

多様性に慣れるのも時間と練習が必要

 万博を機に、様々な性別、見た目、障害、国籍、異文化の人々に慣れましょう。慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、場数をこなすことでいずれ慣れます。万博はそのための絶好のチャンスです!はじめて出会う人に対して、驚きで引きつった顔をしてしまっても、その後適切な対応をして挽回すれば大丈夫です。トライ&エラーしながら、様々な人がいるという意識で接遇することで、今まで見えてこなかった、多様な人が見えてくるはずです。また、来場者のみならず、共に働く人たちに対する接し方の参考にもしてください。
 下記の5つのポイントを紹介します。

(1)誰に対しても、人として尊厳のある扱いをする。
(2)思い込みや決めつけで対応しない。
(3)緊急時も個々の性別や関係性、本人の意思を尊重する。
(4)本人確認は性別にこだわらず、柔軟に行う。
(5)様々な容姿、立場の人がトイレを使うことを前提とする。

(1)誰に対しても、人として尊厳のある扱いをする。

 LGBTQ +の人々の中には、接遇の場面で不快・不安な経験をしている人もけっこういます。例えば、偏見の視線に晒されたり、他の人とは違う対応(冷遇)をされることなどがあげられます。

具体的な声

  • レストランでの注文、受付での申込、レジの会計の時に、見た目の性別があいまいであったり、声が見た目の性別と違っていると、奇異の目で見られたり、冷遇され辛い。
  • ジッと見られたり、指を指してヒソヒソ話しをされたりして不快なため、順番待ちの列に並んでいる時や、込み合った空間では声を出すことが怖く感じる。混みあったエレベーターで「降ります」と言えずに乗り過ごしてしまうことがある。
  • 同性パートナーと手をつないで座っていたら笑われて非常に屈辱的だった。その後は距離感や振る舞いには気をつけ、周囲に恋人同士だと思われないように常に周囲を警戒してしまっている。
  • LGBTQ+の話をしていたらジロジロ見られるので、会話に気を遣う。誰が聞いているかわからないので、自分がLGBTQ+だとバレるような内容は話すことができない。

接遇のポイント

NGな対応
  • あからさまに嫌な顔をしたり、笑いものにしたり、犯罪者や不審者を扱うような対応。
  • 不必要に身分証の提示を求めたり、個人情報を聞いたり、身元を確認するような対応。
望ましい対応
  • どのような外見・声でも、どのようなカップル・家族でも、他の来場者と同じように接し、人として尊厳のある扱いをする。
  • 様々な性の人やカップルがいることを前提とした対応。

(2)思い込みや決めつけで対応しない。

この社会では「性別は男女の2つのみ」や「みんな異性を好きになる」などの考え方が強くあり、それに当てはまらない人たちは日々肩身の狭い思いをしています。万博では、誰も肩身の狭い思いをしなくてすむように、決めつけない対応を心がけましょう。